2016.01.02
畳っていいな。
三重を刺激する大人のローカル詩、
NAGI凪さんに畳の豆知識を掲載して頂いております。
家族や仲間が集う機会の多い年末年始。
こたつで鍋料理を楽しまれるご家庭も多いことでしょう。
畳は断熱効果に優れ、クッション性もあるから
こたつを置くなら和室がおすすめ。
酔って椅子から落ちる心配もありませんしね。
ただし、置きっぱなしは湿気がこもるので
たまにはこたつを外して畳の通気性を保ちましょう。
幕末の探検家で〝北海道の名付け親〟松浦武四郎は、
晩年全国の有名社寺から古材を集めて趣味の書斎を建てました。
広さは畳一枚。
草の舎という名称よりも〝一畳敷〟として知られ百年以上前につくられたこの空間に刺激を受けたプロジェクト「フォールディングコスモス(持ち運べる小宇宙)展」が、
数年前イギリス、アメリカ、ドイツ、金沢など国内外で開かれました。
畳一畳で、こんなに豊かな空間ができるんですね。
畳の語源は、動詞の「たたむ」から。
古代の畳は、ムシロ・ゴザ・コモなど薄い敷物の総称でした。
現代のような弾力ある畳に近づいたのは平安時代。貴族が板の間に、座具や寝具として用いるようになったから。
つまり畳はクッションであり、ベッドでもあったのです。
リビングの一画に畳コーナーや小上がりを設けたり畳のベッドやベンチを置くと、座具にも寝具にもなりますよ。
時代劇を見ていると、建物の内部は障子かふすま
外部との遮断は木戸で、なんだか寒そうに思いませんか。
すきま風はともかく、昔の住まいは土壁や瓦畳など
自然素材のおかげで案外暖かかったそうです。
畳にはグラスウールの約二倍の断熱性能があるとか。
冬にフローリング床を歩くにはスリッパが欠かせませんが
畳の上なら必要ないですもんね。
畳表の材料となるイグサは六月下旬〜七月中旬に収穫されます。
田んぼでの刈り取り作業は夕方や早朝から。
昼間に行わないのは、日焼けと乾燥を防ぐため。
刈り取ったイグサは束ねて泥染めし、機械乾燥させたのち
黒い袋に詰めて保管。こうして弾力と瑞々しい色が保たれます。
蒸し暑い梅雨の最中、この重労働が日々繰り返されるのです。
熊本の農家が手塩にかけた畳表をぜひご家庭に。
小さなお子さん連れでの外食は座敷が助かりますよね。
畳の間なら這ったり、座卓へのつかまり立ちも。
適度なクッション性があるから、転んでも安心です。
柔道が板の間だったらケガが絶えないでしょう。
人は目線が高いと気分が高揚し、低いと落ち着きます。
畳は音や光を吸収してくれるので、目や耳が疲れにくく
勉強や読書をすると集中力が高まると言われます。
クリスマスにはリース、お正月には注連縄を飾りますが
イグサ(畳表の原料)リースなら、和洋どちらにも。
まずはイグサを束ねてベースをつくります。
豊年を願って真っすぐに、あるいは魔除けの輪っかに。
そこへ色や柄の豊富な縁をあしらって行きます。
玄関やお部屋の飾りに、プレゼントにいかがですか。
当店ではイグサを使ったリース体験教室を開いています。
ストレスを和らげてくれるアロマテラピー(芳香療法)。
日本人になじみ深い畳の香りも、実は同じ効果を発揮します。
畳表の原料であるイグサには
森林浴効果で知られるフィトンチッドをはじめ
リラックス作用のある芳香成分が四つも含まれているから。
青々とした畳敷きの部屋に入ると、すがすがしく感じるでしょ。
イグサテラピーを期待するなら早めの表替えを。
畳表の原料であるイグサは、湿地や浅い水中に生える植物。
国内では石川県より西で主に生産されていますが
実は熊本県八代地方がシェア8~9割を占める一大産地。
このたびの大地震では、被災地へヒト・モノを届ける支援に加え
熊本や大分の産物を自分たちが住んでいる地域で購入し
お金を被災地へ回すという運動が起こりました。
藤原屋も微力ながら熊本産畳表の普及に努めたいと思います。
もうすぐ開催される伊勢志摩サミット。
食事や宿、お土産…各国からの要人をもてなそうと
受け入れ側は着々と準備を進めていることでしょう。
そこで、畳屋からの提案です。
ティータイムに、茶室で三重県産の抹茶をお出ししては。
い草の香りには森林浴と同様のリラックス効果があり
多忙なファーストレディもきっと癒されるはず。
なにより日本文化を肌で感じてもらうチャンスでは。
昔から畳の縁は踏まないものと教えられてきました。
しかし、その理由まで知る人は多くありません。
かつて武家や商家では、畳の縁に家紋を入れました。
紋縁を踏む行為は、その家の象徴を踏んでいると見なされ
マナーとして無礼であるとされてきました。
相手を思いやる心から生まれた行為は
結果的に縁の損傷を減らし、畳が長持ちしたのです。
茶道は千利休によって安土桃山時代に完成されました。
当初は大名や豪商など上流階級のたしなみでしたが
江戸時代には町人にも広まり、やがて嫁入り修業のひとつに。
軸や花をしつらえて、亭主が自慢の道具でもてなせば
招かれた客も、美しい所作でお茶と茶菓子をいただく。
戸の開け閉め、立ち方、座り方、歩き方…。
畳敷きの茶室が、日本人の礼儀作法を育てて来ました。
畳の原材料であるイグサは、日本最古の医書「医心方」や
「本草綱目啓蒙」に薬草として紹介されており
江戸幕府の医療施設・小石川療養所でも栽培されていました。
O 157等の食中毒細菌や腐敗細菌のほか
水虫の原因となる白癬菌への抗菌作用、足の臭いの元となる
微生物への効力も認められています。
調湿作用もある天然素材イグサを表に張った畳は
温暖多湿な日本の風土に合った健康床材と言えるでしょう。
今や子供部屋も洋室が主流となっていますが
畳には、集中力を高める効果があるって知ってました?
福岡のある学習塾で、畳敷きの教室と普通教室に分かれて
子供たちに30分間計算問題を解いてもらったところ
畳教室のほうが14%ほど回答率が上がったといいます。
イグサの香りや色、感触が緊張をほぐし、集中力を長続き
させるのだとか。子供部屋に畳、おすすめです。
家族や親戚と過ごす機会が増える季節。
コタツに入ってみかんを食べたり、みんなで鍋を囲んだり。
日本のお正月には、やっぱり畳の間が似合います。
「犬も歩けば棒に当たる」「ハイーッ」
晴れ着を着たり、書き初めしたり。
カルタ取りだってほら、畳の上なら
手が痛くならないし、札が取りやすいでしょ。
い草を編んだ畳表も、今や中国産が主流ですが
藤原屋では有機栽培による熊本産にこだわっています。
日本のい草は成長が遅いため、表皮が厚く、内部も緻密。
ツヤや香りがよく、擦れに強くて長持ちするので
安価な中国産よりお得と言えます。
残留農薬検査を経て出荷されるので、健康面も安心。
琉球畳表「七島藺(しっと)」も扱っています。
ジメジメする雨の季節がやってきます。
天然い草の畳表は、表皮が硬い蝋質で覆われ
中がスポンジ状の空気層になっています。
雨降りの時は、そこへ余分な湿気を吸着し
晴れた日に風を当てれば、蓄えた水分を放出します。
無垢の木や土壁と同じように、調湿作用があるのです。
高温多湿な日本の夏を快適に過ごす智恵ですね。
お宅の畳の健康状態はいかがですか。
ささくれたり、日焼けしていませんか。
畳は、傷んでも修理できるエコな床材です。
新調から五年くらいまでなら、畳表を裏返せば
十年くらいまでなら、畳表を張り替えれば
新調時のすがすがしさが甦ります。
ヘリも替えるので、和室の模様替えにもなりますよ。
年末、家族を待ち受ける一大イベントが大掃除です。
一年のホコリを落として迎える新年の清々しさは格別。
この機会に、畳にも風を当ててあげましょう。
畳に張られたイグサは、呼吸する自然素材です。
湿気やホコリが溜まっていると本来の機能が発揮されません。
昔のように、外へ出してパンパン叩くことは無理でも
床から持ち上げて裏側へ風を通してあげれば大丈夫です。
テーブルを出せば食事や一家団欒の間に。
押入から布団を出して敷けば寝室に。
ベッドやダイニングセットを置く洋室と違って
畳の間ならフレキシブルに使えるので
部屋数の少ない家でも便利です。
飲みすぎた来客が、そのまま寝入っても
布団さえ掛けてあげれば大丈夫。
読書しながら、テレビを見つつ、ついウトウト…。
そんなとき、ゴロンと横になれればシアワセ。
畳の間なら、適度なクッションがあり
イグサが湿気を吸ってくれるので
気持ちよくうたた寝できます。
通気性のいいイグサ枕があれば更に快適度アップ。
ただし、夏風邪にはお気をつけを。
草履は靴に、茶の間はリビングに。
私たちの暮らしはすっかり洋化しましたが
変わらないのは、履物を脱いで家に上がること。
清潔好きな日本人ならではですが
実は、裸足の気持ちよさが捨てがたいからかも。
畳の間はスリッパ要らず。適度なクッションで
転んでも、ほとんどケガしたりしません。
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